襲名披露公演から早ひと月、思えばの夢の中の出来事のような気持ちがします。身辺もようやく落着き、遠出のお礼詣りに出かけました。浜松駅から車で一時間の山中にあるお寺で、家人が子供の頃から福寿講で通っています。私も御縁を頂き、同行するようになりました。臨済宗方広寺は五百羅漢で有名、写真は滝にかかる石橋の羅漢様、見るたびに、その数が変わると伝えられています。

お参りの後はお楽しみ、というわけで京都に立ち寄りました。鴨川踊りを観劇、お座敷で出会った芸妓さんが出演しており感激もひとしお。やはり京都の花柳界は名実ともに最高峰です。

いつものように夜は祇園の「川上」「アベス」にて連夜の舌鼓。９日は家人の誕生日でもあり、シャンパンの味わいもひときわでした。昼に祇園郵便局横の露地にある「かね正」で鰻を頂き、江戸前にこだわる家人が感心する程の美味しさに出会いました。三年坂美術館、帯留の展覧会も眼福の時でした。

さて１４日１４時より「芸能花舞台」（教育テレビ）にて「朝比奈釣狐」放映されます。ご高覧のほどお願い申し上げます。

23th　Apr.「伽羅先代萩」歌舞伎座
「花水橋」「竹の間」を幕見。爽快な力士の活躍、そして随所に緊張感が漲る政岡と八汐の対決。「歌舞伎っていいですねー」って気分で天井桟敷からの階段を下りてきました。

その夜・「毛皮のマりー」ル・テアトル銀座
60年代！初演の時はまだ田舎の学生で、平凡パンチに載った記事を読みながら前衛芸術への憧れを募らせていました。再演を重ねていましたが、今回ようやく観劇。思いや想像が膨らんでいたせいもあり、目の前に繰り広げられた世界を取り込むのに大きく戸惑い、初演を見られなかった無念が募りました。

24th　日本フィル・定期演奏会　サントリーホール
三味線の師匠の御夫君、浦田健次郎先生の「北穂によせて」初演。久々にホールでの洋楽鑑賞、新鮮ずしりと響きました。

無事に襲名披露を執り行う事が出来、ご報告と御礼の墓参が続きました。
１１日は、まず染井の墓地の御先祖様から始まり、浅草は圓照寺の初代宗家家元のお墓にお参りをしました。
１２日は二世宗家の墓所、信州善光寺です。七年に一度の秘仏御開帳とあって街は賑やかでしたが納骨堂のある雲上殿では満開の桜が春の風に静かに揺れていました。（写真）
お墓参りを終え、ようやく会がお開きとなった気がしましたが、その一方で夢の中の出来事だったような気もしてなりません。不思議な心持です。

○NHK教育テレビ「芸能花舞台」
２月の舞踊協会公演より「朝比奈の釣狐」が放映されます。スケジュールは以下のとおりです。ご覧下さいませ。

５月１４日（木）１４時〜１４時４４分
　　１７日（日）２３時３０分〜２４時１４分

小林朝比奈 　 　　花柳　基
大磯の虎御前　　　五條珠實
化粧坂の少将　　　花柳園喜輔

弁慶橋から紀尾井町への通りが八重桜満開となりました。くす玉のように見事に咲き誇っています。

皆々様の暖かいご後援により、多数のご来場を賜り、第７３回珠實会は盛会裡に無事幕を降ろす事が出来ました。出演者一同ともども厚く御礼申し上げます。
またご丁重なるご祝意を賜りました事、重ねて御礼申し上げます。
ご出演、また演奏下さった先生方、スタッフの皆様にもにも改めて御礼申し上げます。
流儀一同、斯道精進に励みますので今後とも、一層のご支援ご鞭撻のほど、心よりお願い申し上げます。

翌日には札幌で舞台を勤めるなど、かなりの過密スケジュールをこなしましたが、昨夜は銀河劇場にて西島君や友利子ちゃんの「回転木馬」を観劇、普通の生活への復帰を試みております。満開となった庭のリンゴ、海棠の花を愛で、赤坂の横丁で見つけた京都そのまんまのバーにて心身を癒しております。

４月４日（土）午後４時開演・国立大劇場
「三代目五條珠實襲名披露公演・第７３回珠實会」
　
演目　長唄　　五條三番叟
　　　　長唄　　たまみざくら
　　　　清元　　あかさか
　　　　長唄　　二人椀久　　賛助出演　中村京蔵
　　　　清元　　北州　　　　特別出演　四世花柳壽輔
　　　　義太夫　日高川　　　賛助出演　花柳基

私は三番叟、椀久、清姫の三役を勤めさせて頂きます。何卒、皆様のご高覧を賜りますようお願い申し上げます。チケットお申し込みは、《インフォメーション・お問い合わせフォーム》よりお願い致します。

写真は二月の舞踊協会公演「釣狐」より傾城・大磯の虎御前です。ＮＨＫにて放送が決定しております。（放送日未定）